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世の中に埋もれたアンメットニーズを探して

タケダには、メディカルサイエンスリエゾン(MSL)という仕事があります。日々患者さんに接するドクターにお話を伺い、いまのお薬では解決できていない症状や、よりよい治療へとつながる道を切り拓く職業です。


“小さな苦しみ”に目を向ける
メディカルサイエンスリエゾン(MSL)という仕事をご存知ですか。タケダは製薬企業ですが、MSLは薬を開発したり、プロモーションしたりはしません。ドクターに話を伺い、まだ世の中で認知されていない医療ニーズ(アンメットメディカルニーズ)を掘り起こす仕事です。

MSLは医学や薬学の先端知識をベースに日々ドクターと議論し、アンメットメディカルニーズを探します。それが論文や新薬に繋がる可能性もありますが、私たちが目指すのは、まだ知られていない病気や苦しんでいる患者さんをいち早く見つけることです。病で苦しんでいる人、悩んでいる人を誰一人として置き去りにしない。そんな思いを、高度な医薬学の知識で形にするのがMSLです。

私は4年前にこの仕事に就き、いまはチームリーダー職をしています。もともと研究職としてタケダに入社し、のちに論文を書いて博士号を取得しました。幸せなキャリアを歩んでいましたが、留学先のアメリカでMSLという職業を知り、眠れなくなるほど興奮したのです。専門家としてドクターと対等に議論する姿勢に憧れ、のちの社内公募で現在の部署に異動しました。


会議には「患者さん役」が出席
タケダには「Patient First(つねに患者さんを中心に考える)」という価値観があります。でも直接患者さんに接しているのはドクターで、私たちは彼らの苦しみを肌身で感じづらいのが現状です。そのため、私たちの会議には「患者さんの声(Voice of Patient)」という役割を設定しています。参加者である私たちの一人が、患者さんの立場で議論に加わり、発言するのです。
会議室では、仕事がより効率的に進むよう議論が進みがちです。ひとりの患者さんより1万人の患者さんを優先したくなります。そんなとき、「患者さんの声」役になった担当者が「それでは困る」と発言します。まだ見えていない病気、置き去りになっているかもしれない患者さんの声に耳を傾ける。患者さん役の発言は、MSLの使命を思い出させてくれます。

MSLは先が見えづらい仕事です。先を急ぎすぎないよう、評価体系も見直しています。例えばMSLは、ドクターと深い議論するにはどうしたらいいかを日々考え、膨大な論文を読んで準備をしています。その努力がアンメットメディカルニーズの発掘や解決に繋がるか、いつその芽が出るのか、わかりません。だからこそ私は、その手前にある地道な努力を評価したい。結果と同様にプロセスを、量ではなく質的な価値を評価すべく、目下改革中です。


いま、7歳と5歳の子どもがいます。母になり、薬への意識も変わりました。例えば、一般用の風邪薬ひとつとっても、いざ子どもに飲ませるとなると、効能効果や副作用の記載ひとつひとつが、それまで以上に身近に、そして重く響くようになりました。
保育園に預けはじめたときは、泣く子を置いて出社するたびに「私は子どもを犠牲にして働いているのでは」と考えていました。でもいまは、「子どもも頑張っているから、私もそれ以上の仕事をしよう」と思っています。子どもから「お母さんはどんな仕事をしているの?」と聞かれたときに堂々と答えられるよう、日々頑張っています。


座右の銘「雨を喜び、風を楽しみ」

 

ひとりの患者さんに安心してもらうまでには、いくつもの壁があります。でも、それを前向きに捉え、不屈の精神で乗り越えられたらと思います。


松本志保

研究職を経て、社内公募でMSLが所属するメディカルアフェアーズ部門に。タケダには、キャリアの幅も深さも追求できる懐の深さを感じている。