このストーリーは2022年の「世界希少・難治性疾患の日(レアディジーズデイ)」を機に希少疾患について考えるシリーズの一環です。詳細はこちら(英語)をご覧ください。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行拡大が始まったとき、多くの人が、家に閉じこもり、予定を立てることもできず、明日のことが心配で仕方がないという状況を初めて知りました。しかし、周期性嘔吐症候群(以下、CVS)の人たちにとっては、それは以前から日常の一部でした。
CVSは、数時間から数日にわたって吐き気や嘔吐が繰り返し起こり、インターバルの期間は症状が出ないという慢性的な障害です1。CVSの疫学は十分に確立されておらず、診断や症状管理が難しいことから、医療現場でも認知度が低い疾患です。
従来の臨床試験の方法では、予測不可能な嘔吐症状への対応が難しく、これまで承認取得をしたCVSの治療薬は存在していませんでした。しかし、2020年私たちは新たな実施方法を適用することで特定の試験を行い、臨床試験を患者さんにお届けすることができました。
私たちは、ケンブリッジ・コグニション社が提供するデータ収集プラットフォームと患者さんの手首に装着する電子機器(ウェアラブルデバイス)を用いて、吐き気と嘔吐の発症を確実に予測できるバイオマーカーを特定することを目的とした、完全分権型臨床試験を実施しました。集められたデータは、研究者がこの疾患の経過や治療的介入を導入するタイミングをよりよく理解するのに役立つと見られています。
分散型試験の利便性により、試験の参加者は自宅にいながら、ウェアラブルデバイスを使って完全に遠隔で症状をモニターすることができました2。すべてのデータは電子的に収集され、紙のソースデータは使用されませんでした。
タケダにとって初の試みとなった内容は次のとおりです2
今日、この試験で得られた知見は、他の遠隔での臨床試験を推進するのに役立っており、希少疾患について従来とは異なる方法で考えることが、医療に大きな影響を与えることを証明しています。CVSの患者数は人口に比して決して多くはないかもしれませんが、世界中の多くの患者さんが、テクノロジーを駆使した分散型の臨床試験や治療から恩恵を受けることができるのです3。
タケダでは、最先端の科学とデジタル・ヘルス・テクノロジーを活用して、可能性を広げることで、患者さんの置かれている状況に合わせて、既成概念にとらわれない革新的なソリューションを探求しています。
希少疾患の日2022年ストーリー(Rethinking Rare: Rare Disease Day 2022)はこちら
参照文献