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J.P.モルガン・ヘルスケア・カンファレンス :今後10年間にわたり当社が成長を見込む理由

武田薬品工業株式会社 代表取締役社長兼CEO クリストフ・ウェバー

2022年1月13日

 

新年の始まりはいつも、これから訪れる機会に期待し、前向きな気持ちになります。特に、長期的な成長と持続的な企業価値の提供を目指して、世界トップレベルのバイオ医薬品企業としての道のりを歩み続ける私たちは、その思いを強く抱きます。今週オンラインで開催された第40回J.P.モルガン・ヘルスケア・カンファレンスにおいて、私は、数名の経営陣とともに、当社の成長戦略によって患者さんや株主の皆さま、そして社会に対する約束をどのように実現し続けるのかというテーマについて、詳しくご説明させていただく機会に恵まれました。

 

グローバルブランド14製品の継続的な貢献

当社は過去数年間にわたり、主にグローバルブランド14製品を通じて変革を推進し、着実な成長を実現してきました。しかし、2014年にこの道のりを歩み始めたときには、グローバルブランドも、長期的な成長を推進する革新的なパイプラインも存在しませんでした。現在、根本的な成長および戦略的買収によって築き上げた、会社規模と力強い上市済み製品のポートフォリオは、サイエンスへの継続的な投資を可能とし、今後10年間にわたるタケダの成長を推進してまいります。実際、当社は、2025年度までに約5,000億円(約45億米ドル)の売上収益成長を達成し[1]、2030年までさらなる売上収益成長が続くとみており、中長期的な成長を継続する見通しです。これにより、独占販売期間満了やパイプラインの後退があったとしても、切り抜けることができるという点も重要なポイントです。

 

最先端サイエンスの提供

当社は臨床段階にある多様な約40 の新規候補物質を有しています。その90%は6年前には存在しなかったものであり、これらのパイプラインが、今後の継続的な成長に大きく貢献する見込みです。最近、米国食品医薬品局(FDA)によって2つの治療薬が承認されたことは、私たちのパイプラインの重要な進捗を示しています。今後、2022年度末までにピボタル試験が開始される予定の新規候補物質は、PTRS(技術的および規制上の成功確率)未調整ベースで1兆円以上(約100億米ドル)、 PTRS調整後で約5,000億円以上(約50億米ドル)のピーク売上ポテンシャルの合計を想定しています[2]、[3]。 2028年までに、これらの新薬候補の多くを患者さんにお届けできるように懸命に取り組んでいます。さらに、 開発の早期段階にある有望な新薬候補においては、今後数年間でプルーフ・オブ・コンセプト(POC)試験のデータ読み出しが予定されており、その中にはピーク時売上収益が高いと想定されるものが複数含まれています。また、重要な点として、後期開発段階のパイプラインの1/3がブレークスルーセラピーに指定されており、当社が新規治療法や疾患を根本的に治す治療法を探索しているということを意味しています。これは革新的であることの証であり、まったく新しいカテゴリーやモダリティ(創薬手法)に焦点を当てています。

 

私たちが期待しているパイプラインの中には以下のようなプログラムが含まれます

  • TAK-003は、デング熱に対するワクチン候補です。現在欧州の規制当局による審査を受けており、2022年度上期に審査結果が判明する見通しです。デング熱は世界の公衆衛生に対する10の脅威の1つに挙げられております[4]
  • TAK-755は、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)に対する、初めてかつ唯一の革新的なADAMTS13酵素補充療法です。TTPは、希少疾患であり命を脅かす血液凝固障害です。
  • Soticlestatは、発達性/てんかん性脳症に対する治療薬候補です。
  • がん免疫療法のパイプライン候補であるmodakafusp alfa(TAK-573)およびsubasumstat(TAK-981)などの治療薬は、がんに対する強力で効果的な免疫療法を促進する可能性を有しています。

 

私たちの活動はなぜ重要なのか

当社は、バイオ医薬品のトップ企業として、中核的な強みと能力を発揮し、主要な社会的課題の解決を支援しています。これは、存在意義を果たすためのサステナビリティ (purpose-led sustainability)と呼んでいるものです。この取り組みは次の四半期だけでなく、長期的に成果をもたらすでしょう。

J.P.モルガン・ヘルスケア・カンファレンスと新しい年の始まりによって、私たちは前向きな気持ちを強めました。当社の製品力とパイプラインの可能性を組み合わせることで、患者さんやステークホルダーのためにこれまで以上に貢献できると確信しています。当社が長い歴史の中でこのような成功への分岐を歩めているのは、当社と当社の社員が常に価値観を重視し、患者さんのニーズを第一に考え続けてきたからなのです。

 


[1]収益の数値は全て開発・規制リスクに基づき調整しています。この数値は、臨床開発の結果が安全性、有効性、ラベル表示など様々な要因から影響を受ける可能性があるため、当社の市販品やパイプラインによって実際に計上する純利益とは大きく異なる場合があります。また、製品が承認された後も、患者集団、競争環境、価格設定、薬剤償還などの商業的要因の影響も不透明となっています。

[2]これはPTRS(技術的および規制上の成功確率)未調整ベースの数値であり、「予測値」や「目標値」ではありません。PTRSとは、臨床試験が予め定義した評価項目、忍容性、その他の要因に基づいて成功し、規制当局からの承認を受ける確率を意味します。臨床開発の結果は、安全性、有効性および適応症を含む多くの変数に左右されるため、上市された製品とパイプラインが将来達成する実際の売上収益は大きく異なる可能性がある。さらに、製品が承認された場合も、患者集団、競合環境、価格設定および保険償還を含む商業的要因の影響は不確実なものとなる。

[3]プルーフ・オブ・コンセプト前(pre-POC)の追加効能症の売上収益および当社が商業化権に関するオプション契約をまだ締結していない地域からの潜在的な売上収益も含みます。

[4] https://www.who.int/news-room/spotlight/ten-threats-to-global-health-in-2019