2021年12月15日
私たちは、未だに有効な治療法が確立されていない疾患に対する医療ニーズに応え、患者さんにより良い医薬品を提供することを目指して常に革新的な方法を模索しています。特に製造部門にとっては、細胞治療や遺伝子治療のような新しい治療法は新たな発見や学びの機会となっています。タケダのグローバル製造・供給を統括するグローバル マニュファクチャリング&サプライ オフィサーのトーマス・ウォスニフスキーが、患者さんの生活を好転させる可能性を持つ治療法を提供するために、製造現場でデータ&デジタルをどのように活用しているのかをご紹介します。
タケダは現在、世界17カ国に30以上の製造拠点を持ち、低分子化合物、生物学的製剤、血漿分画製剤、ワクチン、そして最近では細胞治療製品や遺伝子治療薬を製造しています。各拠点では、患者さんのより良い生活に貢献できるように、プロセスを改善するための効率化に取り組んでいます。
私たちは製造現場やグローバル組織において、新しいツールや新しい働き方を取り入れています。私たちがイノベーションに注力しているのは、人の力をITやAIに置き換えたり労働力を削減するためではありません。むしろ、これらのツールを導入することによる効率化で創出した時間を、従業員の将来に向けた成長のために活用したり、プロセスのさらなる改善や効率化に費やすことができます。私たちが革新を続けてビジネスを成長させていくことで、私たち働き手のワーキングスタイルや業務内容も進化していくのです。
ウォスニフスキーは「私たちは新しい技術や自動化に投資していますが、だからといって人の仕事がなくなるわけではありません。プロセスを自動化することでプロセスを改善し、オペレーターの身体的負担を軽減しながら、より効率的で堅固かつ安全なプロセスを実現することができるのです。また、プロセスを進化させていけば、データサイエンティストなど、これまでにはなかった新しい仕事を提供することができます。つまり、イノベーションが進めば、魅力的な雇用機会が増えるということです」と説明します。
グローバル マニュファクチャリング&サプライ オフィサー トーマス・ウォスニフスキー
タケダでは、新たな技術の導入と並行して人財への投資とエンパワーメントも推進しています。「AGILE 4.0というプログラムがあり、データやデジタル、人や文化など、いくつかの分野で継続的な改善に取り組んでいます。学習・能力開発戦略に特化したチームをおいており、拡張現実(AR)などの技術を利用して、現実の製造エリアから収集した様々なデータを取り込んだデジタルツイン環境を用意して従業員トレーニングに活用しています。これにより、新しい製造ラインが実装されたときにすぐに運用できるよう備えています」とウォスニフスキーは活用の一例を挙げます。
新しい技術をプロセスに加えることは簡単なことではありません。特にCOVID-19のパンデミックの渦中、私たちのチームはこれらのプロジェクトを推進するために献身的に取り組みました。ウォスニフスキーは「私は、製造ラインの投資プロジェクトを実行したチームの貢献をとても誇りに思っています。コロナ禍の非常に厳しい環境の中、患者さんを中心としたマインドを大切にしながら、地理的に距離がある中で海外の担当者とバーチャルにつながりながら協業し、新しい機器を稼働させるための創造的な方法を見つけ出しました。すばらしい実績です」と説明します。
COVID-19は世界中に多くの混乱をもたらしましたが、製薬業界にとっては、新薬の市場投入の迅速化など、ポジティブな影響もありました。現実的には、すべてのプロセスを高速化することはできませんが、新製品を世に出す際に、ここから得た学びを応用することは可能でしょう。
「通常、新製品の上市には(各市場での承認ののち)数週間から数ヶ月を要します*が、タケダでは研究開発チーム、薬学チーム、コマーシャルチームと協力して早期にデータを収集しているため、承認後すぐに発売を開始する準備ができています。最近では、2つの製品が別々に米国の規制当局から承認を受けた後、数日以内に発売することができました。これは、私たちのチームが患者さんのために献身的に取り組んでいることの証です」とウォスニフスキーは話します。
*各市場の規制・制度、承認プロセス等により状況が変わります
私たちの製造現場では、必要としている患者さんに革新的な医薬品をお届けするという重要な目標に向かって改善を続けています。また、細胞治療や遺伝子治療のような新しい治療法では、新しいプロセスに適応しなければなりません。
大阪工場では、有効期間が72時間と短い幹細胞治療製品の製造ラインを新たに設置しました。患者さんが治療を受ける医療機関に本治療製品をタイムリーに届けるために、大阪工場のチームは新たな仕事の進め方を取り入れる必要がありました。多くの時間と労力を費やしデジタル化を進める基盤となるデータを収集することで、結果的に本治療製品を製造し届けるプロセスを迅速化することができました。
「私たちは、受注製造を可能にする新しいサプライチェーン・コントロールタワーを開発しなければなりませんでした。現在、医療機関はタケダの専用発注システムにアクセスし、手術予定に合わせた希望納入日をもとに、製造枠を確保することができます。その後、医療機関側は、製造から出荷、配送まで、製品がどこにあるかを追跡することができます。これにより、患者さんが必要な医薬品を確実に手に入れることができるだけでなく、医療機関や患者さんとの新たなつながりが生まれました」とウォスニフスキーは説明します。
タケダのすべての活動は、その伝統と価値感に根ざしています。ウォスニフスキーは「私にとって伝統とは、知識と経験を意味します。タケダには患者さんのために最善を尽くし、困難を克服するために努力をしてきた長い歴史があります。私たちが好奇心を絶やさず、新しい仕事のやり方を積極的に学び続ける限り、今後も競争力を維持することができると考えています」と語ります。
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<医療情報>
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