2022年2月10日
エフゲニア “エヴィ” グエノバは、ウィーンにあるタケダの製造拠点で微生物検査技師としての初日を迎えたとき、高揚しながら緊張に包まれていました。興味のある分野で新しい仕事に就くことを楽しみにしていた一方で、彼女は重度の聴覚障害者として、異なる能力の人が職場で自ら意見を述べることがいかに難しいかを知っていました。
「新しい場所に行くと、最初は障害を隠さなければならないような気がしたり、職場の人々がショックを受けてどう振る舞っていいかわからなくなったりします。しかし、タケダでは初日から、難聴であることをストレートに伝える機会を得ることができました」
エヴィがタケダに入社したのは、障害を持つ人が企業と面談するためのプログラム「MyAbility」がきっかけでした。彼女がタケダを選んだのは、従業員にインクルーシブな職場環境を提供するというタケダの取り組みを知ったからです。彼女はすぐに、チームがDE&I(多様性・公平性・包括性)の実践に心から真剣に取り組んでいることがわかりました。
「上司や同僚は聴覚障害者に接したことがなかったにもかかわらず、すぐに適応してくれました」と彼女は振り返ります。「私たちは忍耐強く、お互いを理解しようと努め、良い協力関係を築くことができました。面白く素敵な同僚たちの存在は、今では私の仕事の中で一番の楽しみになっています」
また、タケダでは職場での経験を向上させるための実践的な対策が数多く導入されていることを知りました。研究室では、サンプルが到着したときやアラーム音が鳴ったときに彼女に知らせるための照明が設置されています。また、同僚と直接会えないときは、電話ではなくビデオ通話や文面で連絡を取ることができます。そして、「Enable(可能にする)」という従業員主導型の社内ネットワークに参加し、月に一度、他の障害を持つ同僚と交流し、自らの経験やアイデアを共有することで、職場環境のさらなる改善に取り組んでいます。
「タケダの哲学は、ビジネスのためだけではなく、人々のために常に改善策を模索することだと実感しました」とエヴィは言います。「会社は多様性を尊重し、私たちの意見に耳を傾け、継続的な改善を推進しています」
社内ネットワーク「Enable」に参加したことで、エヴィはインスピレーションを得ました。かねてから個人的に情熱を持って取り組んでいた、聴覚障害者の経験を広く人々に伝えるための短編映画の制作を続けることにしたのです。難聴の娘を育てている同僚とアドバイスや励ましの言葉を交わすようになり、その会話の中で、自分の視点を共有することの意味と影響を実感することができました。
「同僚は、私の体験談を聞くことで、娘は何でも成し遂げられると、より一層信じられるようになったと言ってくれたのです。そのような経験は、私に感動を与えてくれるのです」とエヴィは言う。
タケダに入社して3年。エヴィの「達成したことのリスト」はどんどん長くなっています。研究室での仕事に加えて、現在はサンプルのデータを保存・追跡するためのデジタルシステムの開発にも携わっています。彼女は、他の部署のメンバーにシステムのトレーニングやコンサルティングを行っており、将来的にはこのリーダー的な役割を拡大していきたいと考えています。このようにして、彼女は職場環境の中で自分らしく活動する中で成長することができました。
「難聴になったことで観察力が鋭くなり、物事を分析するのが得意になりました。多くの人が働くような職場環境の中でも集中力を保つことができます。ボディーランゲージや雰囲気を見分けることにも長けているので、相手が何かを理解していない状況があれば、直ぐに察知してより良いコミュニケーションの方法を探すことができます。そして、異なるアイデンティティを持つ人に対しては、私は自然と、よりオープンに接することができるのです」
障害をもつ人で、サイエンス分野でのキャリアを考えている人に、「ぜひやってみて、トライしてください」とエヴィはアドバイスします。
「あなたのことを他人に過小評価させてはいけません。あなたと一緒に仕事をする準備ができていない職場なら、その場所が適していないだけです。自分に合った場所を見つけたとき、あなたはそれを直感でわかるはずです。応援しています」