武田薬品工業株式会社 代表取締役社長兼CEO クリストフ・ウェバー
2021年12月09日
前回のストーリーでは約10年前に始まった当社の変革の旅について、進捗状況をご紹介しました。その後も重要なマイルストーンを達成し、パイプラインは意欲的に設定した目標を実現し始めています。
先日開催されたロイター社主催のイベント「Reuters Total Health」にて、私は最近の当社の成果を説明し、今後の方向性について明るい見通しを共有しました。当社のリサーチ&デベロップメント プレジデントのアンドリュー・プランプも同席し、パンデミックによって業界でのデータや新しいデジタルツールの利用がいかに加速しているかについて見解を述べました。例えば、タケダでは臨床試験に分散型アプローチを全面的に採用しています。
これは、臨床試験のパラダイムを根本的に変えるもので、患者さんに常に臨床試験を実施する医療機関に来院していただくのではなく、試験の一部を患者さんの自宅にて行うものです。この分散方アプローチはCOVID-19の状況下において一気に加速し、最近、周期性嘔吐症候群を対象とした初の完全分権型臨床試験を完了しました。周期性嘔吐症候群は、症状が予測できないことや、この疾患をしっかりと体系的に研究する能力が限られていることから、患者さんの間で高いアンメットニーズ(未だ治療法が確立されていない分野)が存在しています。
パンデミックの中でさまざまな課題に直面するにもかかわらず、患者さんのために変化をもたらし続けるためにチームが新しく革新的な方法で一丸となって成果を出していることを誇りに思います。彼らの心意気と献身的な貢献に刺激を受け、私自身も勇気づけられています。しかし既に成し遂げた成果に安住することはできません。私たちは常に、患者さんに革新的な治療法を提供するための取り組みを加速させ、患者さんがより健康な人生を送っていただくことができるようにと考えています。また、重要なこととして、イノベーションを推進するためには、道の半ばで挫折を経験することもあると認識しています。しかしながら当社のチームには回復力(レジリエンス)があり、勢いを保ちながら進化し続けることで継続的な成功に繋げることができると確信しています。
2021年度上半期の好調な業績により、当社の成長戦略は明確であり、患者さんの人生を大きく好転させる可能性のある医薬品を届けることに注力しています。9月には、非小細胞肺がんを患う成人患者さんにとって重要な治療選択肢を米国食品医薬品局(FDA)が承認したことを発表しました。また、11月には12歳以上の患者さんを対象に、従来の抗ウイルス療法に抵抗性を示す移植後のサイトメガロウイルス(CMV)感染に対する最初で唯一の治療薬として、FDAの承認を取得しました。これらの革新的な医薬品は、治療を必要としている患者さんに新たな治療の選択肢を提供するものです。当社のパイプラインが成果を上げ始めていることを実証しています。
当社は、業界でも有数のエキサイティングなパイプラインを有しており、約40の新規候補物質を臨床開発中であることが、当社のパイプラインに強靭性や回復力を与えています。実際、後期開発段階のパイプラインの3分の1以上がブレークスルーセラピーに指定されています。これは、当社の取り組みの革新性の高さと、まったく新しいカテゴリーやモダリティ(創薬手法)に注力していることの証しです。その中には、効果的な治療法が切実に求められている希少疾患も含まれています。また、血液がんや固形がんの分野で複数のファースト・イン・クラス*の免疫療法の候補があり、デング熱やジカウイルスなどの世界的に重要な公衆衛生に対処するためのワクチン候補も存在します。
タケダの変革は、継続的な成長を生む源であり、これまでの進展は、研究開発型の企業がいかに患者さんの生活の好転に貢献できるかを示しています。この先10年も、可能性のある新しい治療法を患者さんにお届けし、当社の存在意義(パーパス)である「世界中の人々の健康と、輝かしい未来に貢献する」を推進していきたいと考えています。
当社の最近のニュースやマイルストーンについては、こちらをご覧ください。
<医療情報>
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*ファースト・イン・クラス:同一のモダリティ(創薬手法)の中で最初に上市されたもの