アクセシビリティ機能を有効化アクセシビリティ機能を有効化

イノベーション創出を促して10年

2021年10月12日

タケダでは、従業員にキャリア形成の機会を提供し、イノベーション創出力を育てる取り組みを進めています。2011年、研究者らに既存の枠組みに捕らわれることなく考え、患者さんに真の意味での変化をもたらせるアイデアの着想を促すプログラムとして、"Takeda Exploratory Challenge"(TEC)を立ち上げました。

TECは、現在、当社のリサーチ・ニューロサイエンス創薬ユニット・アジアNCEプロダクション研究所長である一川隆史博士の発案によるプログラムです。彼は2011年にタケダのリーダーらと会議をもち、リサーチチーム内のイノベーション創出を加速する方法について議論しました。彼は、チーム内の起業家精神を高め、学び続ける姿勢を維持することが肝要と述べ、リーダーらは彼の考えを支持しました。ここで論じられたのが、科学者たちの「ひらめき」を促す機会をどう提供するかという点であり、その仕組みとして、TECが生まれました。

 

TECとは?

TECは、タケダのリサーチチームが社内研究者のアイデアの探索や開発を促す目的で立ち上げた資金調達プログラムです。本プログラムの主な目的は、タケダの事業戦略と方向性に一致した新しい革新的なアイデアや、最近のトレンドを捉えて挑戦し、新たな科学領域を切り開き、タケダの革新的なパイプラインを創出するようなアイデアに資源を提供することにあります。TECは、当初は日本国内で活動する研究者によるイニシアチブの支援策として発足しましたが、2018年にはその規模を広げ、世界各地のタケダのリサーチ部門も対象に含めました。

毎年、リサーチチームは提案を募集し、社内研究者からのアイデアを受け付けます。提出されたアイデアは、シニア研究者のリーダーが審査し、リサーチ組織内で資金を調達します。審査に通った研究者らは、1年間の研究を行います。1年間の研究を終えた研究者たちは成果、結論と次の研究計画の提言をリサーチ部門のリーダーらに示し、リーダーらは、研究の続行・中止を決定します。

一川は、「10年前にこのプログラムを開始した時点では、過去に例がない取り組みであったことから、若干の不確定要素がありました。当初は、このプログラムは3回行う予定でしたが、成果がみられたためにプログラムを継続し、今年で10年目を迎えることとなりました」と述べています。

プログラムの規模は年々拡大しましたが、大胆なイノベーションを奨励し促すことで人材とパイプラインを同時に成長させたいというビジョンは、当初から一貫しています。本プログラムは、開発、指揮、予算管理や、自らの提案に対する疑問や指摘に対応し主張するなどの研究に必要なスキルを身につける実践の場を提供する機会となるとともに、タケダにとっては、現在および将来のパイプラインに貢献する可能性のある革新的なアイデアを見いだす場ともなります。

「研究者なら誰でも、自らが追究したいアイデアを胸に秘めています。TECというプラットフォームによって、彼らが持つアイデアを実際に実施する場を提供できることを大変嬉しく思っています」と一川は述べています。

 

人材とパイプラインをともに育成する

TECプログラムの目標は、タケダで活動する研究者たちに、互いに連携し、創造性を発揮し、起業家精神を高めてタケダの事業戦略をより深く理解し、自らが大きな関心をもつ難題に立ち向かう新たな機会を提供することで、プロフェッショナルとしての能力を高めてもらうことにあります。

グローバル・バイオロジクス・リサーチのディレクターであり、2021年度のTEC審査委員でもあるメダ・トムリンソン(Medha Tomlinson)も、毎年のチャレンジは、これらの特質を高めてもらうことを目的としているとの考えを持っています。「多数の研究者たちによる連携を軸とする提案がベストです。創薬は複雑な活動であり、プロジェクトを前に進めるには、多くの場合、多数の領域における豊富な経験を必要とします。TECは、個々の研究者たちに、従来の枠組みに捕らわれない考え方で課題を解決するよう促し、成長の機会とともに新領域に触れる機会も提供するものです」と述べています。

 

10年間のイノベーションを記念して

今年で10年目を迎えるTECは、例年に増して関心を集めました。TEC審査委員会は43題の応募を審査し、昨年度の2倍にあたる15題を選び出しました。選出された研究プロジェクトの開始にあたり、リーダーらは研究者たちに対し、より一層大胆に研究を進めてほしいと述べています。

リサーチヘッドのスティーブ・ヒッチコック(Steve Hitchcock)は、「TECの参加者には、学際的なアイデアを考えてほしいと願っています。職務や専門領域の枠を越えて研究が行える素晴らしい機会です。彼らのアイデアは、次の大型新薬候補や次の発見につながるかもしれません」と述べています。

タケダでは、TECの他にも、様々な形でイノベーションを促進しています。タケダのイノベーションの文化の詳細については、こちらをご覧ください。