武田薬品工業株式会社(以下「武田薬品」)は、このたび、非上場のバイオテクノロジー企業であるMaverick Therapeutics Inc.(所在地:米国カリフォルニア州ブリズベーン、以下「Maverick社」)を買収するオプション権を行使しましたのでお知らせします。Maverick社は、一定の条件下で活性化される二重特異性 T 細胞誘導療法を開発しています。本契約に基づき、武田薬品は、Maverick社のT細胞誘導抗体の基盤技術であるCOBRA™と、 Maverick社の主力開発候補薬であるTAK-186(MVC-101)およびTAK-280 (MVC-280)などの広範なポートフォリオを取得します。TAK-186(MVC-101)は、現在、上皮増殖因子受容体(EGFR)が発現している固形がん患者を対象とした臨床第1/2相試験を実施中であり、TAK-280 (MVC-280)はB7-H3タンパク質が発現している固形がん患者の治療薬として、2021年度後半に臨床試験を開始する予定です。本買収の完了後、Maverick社は武田薬品の研究開発組織の一部として存続し、Maverick社の従業員はそこに所属することになります。
武田薬品のOncology Therapeutic Area UnitのHeadであるChristopher Arendtは、「当社の研究開発戦略やがん治療の新たなアプローチの追求において、パートナーシップは最重要課題です。科学の新たな領域に取り組んでいる Maverick社のような先駆者を支援することで、当社は専門知識、リソースやリスクを共有でき、患者さんに革新的な新薬をより早くお届けすることができます。Maverick社の最先端の基盤技術であるCOBRAが当社のがんポートフォリオに加わることは素晴らしいことであり、生物学的製剤を一定の条件化で活性化するように改変する新たなアプローチは固形がんに対する免疫リダイレクト療法の進展に寄与します」と述べています。
Maverick社の基盤技術であるCOBRAは、高い特異性と強力な活性により、正常な組織には限定的な毒性にとどめつつ、広範な固形がんを安全に標的とするようデザインされています。投与後に全身で活性化される標準的なT細胞誘導療法とは異なり、COBRAで改変されたタンパク質をベースとした治療法では、腫瘍微小環境を活用し、患者さんの正常な組織を傷つけることなく腫瘍部位のみでT細胞性の殺細胞効果を発揮するようデザインされています。基盤技術であるCOBRAは、免疫細胞をリダイレクトしてがんを標的とする武田薬品のアプローチを補完するものであり、固形がんにおける有効性を切り開く可能性があります。
今回の買収は、一定の条件下で活性化されるT細胞誘導療法の開発のために2017年にMaverick社と武田薬品が締結した複数年の提携契約に続くものであり、当該契約において、武田薬品は、株式および5年間の提携後にMaverick社を買収する独占的オプション権を取得しました。武田薬品は、同社の現在の株式保有比率やMaverick社の負債などを含む調整を前提として、事前交渉により定められた契約一時金、および開発、申請、承認などのマイルストン支払いを含め合計最大5億2,500万米ドルでMaverick社を買収するオプション権を行使しました。本買収は、2021年度第1四半期の完了を予定していますが、米国の1976年ハート・スコット・ロディノ反トラスト改正法を含む独占禁止法に基づく審査完了時期によります。
Maverick社のCEOであるJames Scibettaは、「武田薬品の今回の買収オプション権の行使は、当社のチームが固形がんの患者さんの治療成績を改善することに集中して取り組んできたことの証です。買収により、リソースの拡大や武田薬品の経験が加わることでCOBRAを基盤とする治療薬の開発が加速され、患者さんは恩恵を受けることになります。武田薬品は、当社の創業時からの素晴らしいパートナーであり、急速なイノベーションの期間を通して当社の独立性に敬意を払っていただくとともに、実用的な助言もいただき、当社が厳しいスケジュールを守れるよう、細胞株の開発という直接的な支援と新型コロナウイルス感染症のパンデミックの中での原薬製造への支援をいただきました」と述べています。
以上
<武田薬品について>
武田薬品工業株式会社(TSE:4502/NYSE:TAK)は、日本に本社を置き、自らの企業理念に基づき患者さんを中心に考えるというバリュー(価値観)を根幹とする、グローバルな研究開発型のバイオ医薬品のリーディングカンパニーです。武田薬品は、「すべての患者さんのために、ともに働く仲間のために、いのちを育む地球のために」という約束を胸に、革新的な医薬品を創出し続ける未来を目指します。研究開発においては、オンコロジー(がん)、希少遺伝子疾患および血液疾患、ニューロサイエンス(神経精神疾患)、消化器系疾患の4つの疾患領域に重点的に取り組むとともに、血漿分画製剤とワクチンにも注力しています。武田薬品は、研究開発能力の強化ならびにパートナーシップを推し進め、強固かつ多様なモダリティ(創薬手法)のパイプラインを構築することにより、革新的な医薬品を開発し、人々の人生を豊かにする新たな治療選択肢をお届けします。武田薬品は、約80カ国で、医療関係者の皆さんとともに、患者さんの生活の質の向上に貢献できるよう活動しています。
詳細については、https://www.takeda.com/jp/をご覧ください。
<留意事項>
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<将来に関する見通し情報>
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<Maverick Therapeuticsについて>
Maverick社は、先駆的な免疫療法の基盤技術をデザインし、提供するための医薬品開発における統合された深い専門知識に焦点を当てることにより、T細胞エンゲージャーを固形がんの治療に用いる競争においてリーディングポジションを確立しています。Maverick社の革新性の高い治療の基盤技術であるCOBRATMは、固形がんを排除するために設計された最も成熟した、一定の条件下で活性化される二重特異性T細胞誘導療法の基盤技術です。COBRAでは、T細胞の活性化とそれによる細胞傷害は、腫瘍内の必要な場所でのみ起こります。この独自のデザインにより、がん治療で長い間求められてきた、高い特異性、高い有効性、低い毒性という3つを実現します。2016年に設立されたMaverick社は、タンパク質工学およびT細胞エンゲージャーによる治療法の研究開発における優れた専門家からなるチームが率います。買収前、Maverick社は武田薬品、MPM BioVentures 2014、およびMPM CapitalのUBS Oncology Impact Fundから資金提供を受けました。詳細はwww.mavericktx.comをご覧ください。