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小児・成人のドラベ症候群およびレノックス・ガストー症候群の治療薬候補soticlestatのグローバルでの開発および販売権のOvid Therapeuticsからの取得について

2021年3月4日
- Ovid社は、1億9,600万米ドルの一時金、各マイルストン支払いや販売額に応じた段階的な二桁台のロイヤリティを含め、最大8億5,600万米ドルを受領する権利を取得
- ファースト・イン・クラスの治療薬候補により、ドラベ症候群およびレノックス・ガストー症候群の小児患者を対象とした臨床第2相ELEKTRA試験において発作頻度が減少
- 2017年に締結された両社間の共同開発・販売契約に関する提携は終了し、今後Ovid社は開発またはマイルストンの義務は負わず
- 当社は、2021年4月~6月の間に、ドラベ症候群およびレノックス・ガストー症候群の小児・成人患者を対象とする臨床第3相試験を開始予定
- Ovid社は、米国東部標準時の3月3日午前8:30に電話会議とウェブ配信を実施
武田薬品工業株式会社(本社:大阪市中央区、以下「武田薬品」)と、希少神経疾患患者の生活に大きな変化をもたらす治療薬の開発を行うバイオ医薬品企業であるOvid Therapeutics Inc.(所在地:米国ニューヨーク州ニューヨーク、以下「Ovid社」)は、本日、当社がドラベ症候群(DS)またはレノックス・ガストー症候群(LGS)を含む発達性およびてんかん性脳症の治療薬として臨床段階にあるsoticlestat(TAK 935/OV935)について、グローバルでの開発および販売権をOvid社から獲得する独占契約を締結しましたのでお知らせします。

当社の湘南研究所で発見されたsoticlestatは、強力で選択性の高い、ファースト・イン・クラスのコレステロール24ヒドロキシラーゼ(CH24H)阻害剤です。当独占契約に基づき、soticlestatのグローバルでの権利を武田薬品が獲得し、今後の全世界での開発と販売を単独で担うことになります。Ovid社はマイルストン支払いや将来の開発・販売費用を含め、武田薬品に対していかなる金銭的義務も負いません。Ovid社は契約時に1億9,600万米ドルの一時金を受領し、開発、承認、発売等の各マイルストン達成時に最大6億6,000万米ドルを受領する権利を有します。さらにOvid社は、soticlestatが承認・上市された場合、販売額に応じた二桁台前半から最大20%の段階的なロイヤリティを受領することとなります。このたびの新たな契約は、ハート・スコット・ロディノ法(米国独占禁止法)に基づく該当する規制当局による承認を含め、一定のクロージング条件を満たすことを前提に、2021年3月末までにクローズする予定です。

当社のPresident of Research and DevelopmentであるAndy Plump, M.D., Ph.D.は、「思慮深く生産的な提携に対し、Ovid社に感謝申し上げます。両社の協働により、臨床第2相ELEKTRA試験で良好なデータが得られ、その結果、soticlestatは2つのピボタル試験に進む準備ができました。この提携は、当社のパートナーシップモデルの強みと、神経疾患の患者さんに革新的な医薬品を提供するという当社のコミットメントを示すものです」と述べています。

2017年に締結された両社間の共同開発・販売契約に関する提携により、武田薬品はOvid社の株式を取得し、臨床第3相試験の開始を含む申請・承認等に関するマイルストンに対して最大8,500万米ドルを受領する権利を有していました。Ovid社は希少小児てんかん領域における概念実証を成功裏に行ない、グローバル規模でsoticlestatの開発を主導しました。

Ovid社のChairman and Chief Executive OfficerであるJeremy Levin, DPhil, MB, BChirは、「この新しい契約は、患者さん、武田薬品、当社のすべてにとって良い結果であると確信しています。当社は武田薬品と協働して準備を進め、プログラムを最適化し、加速させてきました。当社は大きな利益を得るものと考えています。soticlestatのピボタル試験が完了するまでの今後数年間に必要となる相当な資金を自身で投じる義務はなく、試験が成功すれば、世界市場への参入につながります。また、本契約によってもたらされる資金により、当社は戦略的にも経済的にも、未来に向けて好位置につくことができます。当社のパイプラインを推進・強化し、脳の希少疾患領域におけるリーディングカンパニーを目指してまいります。素晴らしいパートナーである武田薬品に感謝するとともに、今後も本プログラムの成功に期待しています」と述べています。

武田薬品Neuroscience Therapeutic Area UnitのHeadであるSarah Sheikh, M.D., M.Sc., MRCPは、「重要なアンメットニーズである希少な神経疾患と神経筋疾患にフォーカスしている当社のポートフォリオにおいて、soticlestatは開発後期にある重要な治療薬となっています。DSおよびLGSの小児・若年成人の患者さんを対象とした臨床第3相試験を開始し、進めていけるよう、懸命かつ適切に取り組んでいます。当社の目標は、いつか、世界中のDSおよびLGSの患者さんに、発作を管理できる、忍容性と機能性に優れた新たな治療選択肢をお届けすることです」と述べています。

<ドラベ症候群およびレノックス・ガストー症候群治療の新たな選択肢の研究推進>
武田薬品とOvid社は2020年8月に臨床第2相ELEKTRA試験結果を報告済です。試験においてSoticlestat (TAK-935/OV935)が主要評価項目である発作頻度減少を達成しており、2021年4月~6月の間にDSおよびLGSの小児・若年成人の患者さんを対象とした臨床第3相試験を開始する予定です。

<Soticlestat(TAK-935/OV935)について>
soticlestatは、強力で選択性の高い、ファースト・イン・クラスの経口コレステロール24ヒドロキシラーゼ(CH24H)阻害剤であり、発作感受性を低下させ、発作制御を改善する可能性があります。CH24Hは主に脳で発現し、そこでコレステロールを24S‐ヒドロキシコレステロール(24HC)に変換し、脳コレステロールの恒常性バランスを調節します。24HCはNMDA受容体のポジティブアロステリックモジュレーターであり、てんかんに関連するグルタミン酸作動性シグナル伝達を調節します。グルタミン酸は脳内の主要な神経伝達物質の1つであり、発作の開始および進展に関与していることが示されています。最近の論文では、CH24HがNMDA受容体の調節を介してグルタミン酸経路の過度な活性化に関与し、CH24Hの発現増加がアストロサイトによるグルタミン酸の再取り込みを妨げ、てんかん原性と神経毒性が生じることが示されています。soticlestatによるCH24Hの抑制はニューロンの24HCレベルを低下させ、脳の興奮性/抑制性バランスのゆがみを改善する可能性があります。

<ドラベ症候群とレノックス・ガストー症候群について>
ドラベ症候群とレノックス・ガストー症候群は、まれなてんかん症候群の不均一なグループである発達性およびてんかん性脳症(DEE)の一種です。ドラベ症候群およびレノックス・ガストー症候群は、典型的な場合で乳児期または幼児期に発症し、多くの抗発作薬で抑制が難しい非常に難治性の疾患です。

ドラベ症候群はSCN1A遺伝子の遺伝子変異が原因で起こることが最も多く、米国では15,000人から21,000人に1人の割合で発症します。ドラベ症候群は、けいれん性強直間代発作に進展しうる遷延性焦点発作を特徴とします。ドラベ症候群を有する小児患者は、発作が増加するにつれて発達障害を発症します。そのほかによくみられる症状には、食欲の変化、バランス感覚の悪化、かがみ歩行などがあります。

レノックス・ガストー症候群は、米国では約11,000人に1人が罹患すると推定されています。レノックス・ガストー症候群は不均一な病態であり、いくつかの異なるタイプの発作、最も一般的には弛緩性(脱力)、強直性および非定型欠神発作を特徴とします。レノックス・ガストー症候群を有する小児患者では、認知機能障害、発達のマイルストン達成の遅れや行動上の問題が引き起こされることもあります。レノックス・ガストー症候群は、様々な基礎疾患によって引き起こされることがありますが、原因を特定できないこともあります。

<Ovid社について>
Ovid Therapeutics Inc.は、ニューヨークを本拠としたバイオ医薬品企業であり、BoldMedicine®のアプローチを利用し、希少神経疾患の患者さんの生活の向上に大きな変化をもたらす治療薬の開発を行っています。Ovid社は、幅広いファースト・イン・クラスのパイプラインを有しています。Ovid社および同社のパイプライン、ウェブキャストの詳細については、英語版プレスリリースおよびwww.ovidrx.comをご覧ください。

<武田薬品について>
武田薬品工業株式会社(TSE:4502/NYSE:TAK)は、日本に本社を置き、自らの企業理念に基づき患者さんを中心に考えるというバリュー(価値観)を根幹とする、グローバルな研究開発型のバイオ医薬品のリーディングカンパニーです。武田薬品は、「すべての患者さんのために、ともに働く仲間のために、いのちを育む地球のために」という約束を胸に、革新的な医薬品を創出し続ける未来を目指します。研究開発においては、オンコロジー(がん)、希少遺伝子疾患および血液疾患、ニューロサイエンス(神経精神疾患)、消化器系疾患の4つの疾患領域に重点的に取り組むとともに、血漿分画製剤とワクチンにも注力しています。武田薬品は、研究開発能力の強化ならびにパートナーシップを推し進め、強固かつ多様なモダリティ(創薬手法)のパイプラインを構築することにより、革新的な医薬品を開発し、人々の人生を豊かにする新たな治療選択肢をお届けします。武田薬品は、約80カ国で、医療関係者の皆さんとともに、患者さんの生活の質の向上に貢献できるよう活動しています。
詳細については、https://www.takeda.com/jp/をご覧ください。

<留意事項>
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<将来に関する見通し情報>
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以上