高度免疫グロブリン製剤(H-Ig)は、重度の急性呼吸器感染症の治療において、すでに有効性が立証されている⾎漿分画製剤です。実際に、タケダは2009年にH1N1ブタインフルエンザの H-Igを開発しています。そのため、CoVIg-19が、ウイルスに感染した患者さんを治療するだけでなく、高い感染リスクにさらされている人々の肺疾患を予防するうえでも、有効かつ早期の選択肢となる可能性があると確信しています。
しかし、医薬品開発の成否は、別の重要な協力にかかっています。おそらくもっとも重要なものです。つまり、COVID-19から回復された方からの協力です。患者さんの体内では、COVID-19を引き起こすウイルスに対する「抗体」が生成されています。これらの抗体は、ウイルスを標的とし、体内からウイルスを除去します。したがって、COVID-19から回復された方が血漿を提供した場合、その血漿内に抗体はまだ存在しており、この血漿は「回復期」血漿と呼ばれています。この特殊な血漿がCOVID-19と闘う鍵となる可能性があります。
COVID-19の治療薬候補としての回復期血漿の用途は2つあります。病院で患者さんに直接輸血するか、または、H-Igを製造するために使用します。どちらのアプローチも、COVID-19と闘うための重要な選択肢であり、協力の精神と、常に患者さんを最優先に考えるというタケダのコミットメントのもと、タケダ自身の取り組みだけでなく、他社の取り組みについても支援を行っています。
回復期血漿を直接輸血に使用することの主な利点は、血漿提供の完了直後に患者さんへの輸血が可能である点です。H-Igについては、製造工程のため時間がかかりますが、いくつかの利点が存在します。第一に、タケダの製造工程において複数の人から提供された血漿は一緒にプールされ、抗体が分離されます。その結果、一定かつ安定した濃度の抗体が得られ、小さな薬瓶で提供できます。H-Igは、直接血漿を輸血する場合と比較して、より少量かつ短時間で患者さんに投与できる可能性があります。第二に、血漿分画製剤の製造工程には厳格なウイルスの不活化およびウイルス除去工程が組み込まれているため、H-Igでは既知のウイルスや細菌が提供者から患者さんに移行するリスクについても大幅に低くなります。第三に、製造工程は拡張可能で、保存が可能なH-Igを大規模生産し、容易かつ安全に、世界中の患者さんにお届けすることができます。
CoVIg-19 Plasma Allianceに参画している企業がともに協力し、 米国単独でも500を超える血漿採取センターを運営しています。これは適格な献血者の50%超の人々を含むことを意味します。現在、タケダはオーストリアでも回復期血漿の採取を行っていますが、まもなくチェコ共和国、ドイツおよびハンガリーでも採取を開始する予定です。
では、次に何をすべきでしょうか?そう、あなたやその家族、ご近所の方、友人に、この血漿献血についての情報を広めていただきたいのです。あなたやあなたの知人がCOVID-19から回復されているならば、是非、新たに開設した専用のウェブサイトをご確認ください –
www.covig-19plasmaalliance.org。対話式の質問を含むウェブサイト上の情報は、献血の適格性について詳細にお伝えしています。そして、血漿を提供することで、コロナウイルスに打ち勝つことに成功した方は、もっとも素晴らしい貢献ができるのです。文字どおり、他の人々の生命を救える可能性があるのです。
異例な状況には、異例の解決策が必要です。CoVIg-19 Plasma Allianceは、H-Igという解決策を見出すことに、しかも可能な限り最速で見出すことに、全力で取り組んでいます。この取り組みには、これまでに非常に大きな反響があり、Allianceに参画する企業も増えており、また、特にMicrosoftやUber Healthなど、血漿分画製剤に関与していない企業からも支援を得ています。
我々は常にタケダのバリューに基づいて行動し、常に患者さんを最優先に考えています。そのため、一企業としての利害は除外し、Allianceのもと、ともに協力していきます。ともに協力することで、我々はさらに強くなり、ともに協力することで、さらに多くの人々の生命を救うことができるのです。