Chris Arendt, Ph.D., オンコロジー治療領域部門ヘッド
タケダは、がん免疫療法領域におけるこれまでの成果をさらに発展させることを目指しています。私たちは、臨床上で限られた有効性しかしめせない治療から、革新的で治癒を目指すことができる新規性の高い治療薬への転換に取り組んでいます。未だ解明されていない生物学のレベルで差別化されたプラットフォームや治療法に取り組んでおり、そこで最大の効果を発揮できると考えています。免疫学的にColdな腫瘍からHotな腫瘍への転換と免疫のリダイレクトという2つの柱にフォーカスし、深く持続的な奏効をもたらす可能性を持つ新しいメカニズムに焦点を当てています。
免疫反応が「Cold」な腫瘍とは、体の免疫システムが攻撃できず免疫療法に対する反応が出にくくなっている腫瘍のことです。一方「Hot」な腫瘍は、がん細胞を標的にして死滅させる免疫細胞が浸潤しています。タケダの科学者とパートナーは、免疫反応が不良な腫瘍を活性化した状態にし、それによって腫瘍部位での不良な免疫反応を完全に活性化した状態へ変えることで、免疫療法の有効性を広げようとしています。
私たちは、この取り組みを達成するために、インターフェロン経路の調節による免疫システムの覚醒、敵対的な腫瘍の微小環境の変化、免疫チェックポイントの調節などを含む、異なる作用機序を通じた複数のアプローチをとっています。
タケダは、免疫システムの細胞を結集して腫瘍を直接攻撃する「リダイレクト免疫」に注力しており、パートナーシップを通じた革新的な技術の開発を進めています。
ナチュラルキラー(NK)細胞、ガンマデルタ(γδ)T細胞、人工多能性幹細胞(iPS)細胞などに由来する細胞を含む、複数の細胞治療プラットフォームとエンジニアリング戦略を追求しています。マーベリック・セラピューティクス社への取り組み通じて、COBRAとして知られている幅広い固形腫瘍を確実なターゲットとするよう設計された条件付きT-cell engagerプラットフォームの開発を進めています。COBRAを用いた治療法は、患者の健康な組織へのダメージを最小限に抑えながら、腫瘍部位のみでT-cellの殺傷能力を発揮させることを目的としています。これらのアプローチは、安全性、有効性、および患者の利便性を向上させる可能性のあるがん治療における第一世代の細胞療法および細胞エンゲージメントを基盤としたものです。