アクセシビリティ機能を有効化アクセシビリティ機能を有効化

研究の成果としてイノベーションを創出し患者さんにお届けします

2021年9月3日

武田薬品は、科学の飛躍的進歩から革新的な治療法を創出し、世界中の患者さんにお届けする機会を常に求めています。私たちは、パートナーシップ、連携や研究を通じてイノベーションのエコシステムを育て、最先端の科学から、意義あるヘルスソリューションを生み出しています。これまでには日本の研究拠点として、湘南ヘルスイノベーションパーク(湘南アイパーク)を設立しています。T-CiRAも、ここで進められている連携とイノベーション創出活動の一つと言えます。

T-CiRAは、タケダと京都大学iPS細胞研究所(CiRA サイラ)との10年間にわたる共同研究プログラムで、iPS細胞技術の臨床応用に向けた研究を行い、神経疾患、がん、難治性筋疾患などの領域で新薬や細胞治療といった革新的な治療方法の開発を目指しています。

iPS細胞由来の再生医療の開発を加速します

タケダはこのほど、湘南アイパークに拠点をおく研究開発型企業「オリヅルセラピューティクス株式会社」(以下オリヅル)の設立にあたり、同社へのシード投資を行いました。オリヅルは、まずはT-CiRA研究プログラムで創出された重度心不全と1型糖尿病の治療薬の2つのプログラムについて開発を進めます。また、オリヅルは、iPS細胞技術の利活用を通じ、創薬研究支援や再生医療研究基盤整備を行います。

オリヅルの野中健史社長は次のように述べています。「T-CiRAにおける革新的なプログラムをオリヅルで引き継けることを大変嬉しく、また誇りに思うとともに、オリヅルの立ち上げに際しては出資企業としてご参加いただき大変感謝しております。私たちは湘南アイパークでタケダと今後も密に連携し、再生医療を患者さんの元にお届けできると確信しています。」

オリヅルはT-CiRAから派生した新企業としてプログラムを独自に進める一方、タケダは自社の重点領域での研究に注力し、オリヅルの出資企業として同社が進める心血管系と糖尿病の2領域におけるプログラムの開発を支えます。このような体制をとることで、タケダはT-CiRAの研究成果を活かし、イノベーションとiPS細胞関連技術を活用した治療機会を、患者さんと社会にお届けする活動をさらに効率良く進めることができます。

湘南アイパークの藤本利夫ジェネラルマネジャーは、次のように述べています。「湘南アイパークは、産学が連携して研究できるバイオテクのエコシステムを構築しつつあります。ここでは数々の革新的な新企業が次々と生まれており、オリヅルセラピューティクスはその最高の事例といえます。」

武田薬品におけるiPS細胞研究

人工多能性幹細胞(iPS細胞)は、細胞を初期化して初期胚細胞に近い状態にすることで、どのような細胞にも分化できる能力をもたせた細胞です。iPS細胞は、ヒトの体細胞(皮膚や血球など)にいくつかの遺伝子を入れて培養して作成します。iPS細胞は、様々な細胞に分化させることができます。例えば神経細胞(ニューロン)、肝臓や心臓の細胞に分化させ、その細胞を無限に増殖させることができます。iPS細胞がこのような性質を持つことから、研究や患者さんの治療に必要な健康な細胞をいつでも手に入れられる細胞バンクを作成することができます。iPS細胞は、様々な疾患領域で臨床応用につながる可能性をもち、例えばがん治療の分野では同種細胞由来のoff-the-shelf(レディメイド)製剤が開発できる可能性があります。タケダは、iPS細胞由来の組織やミニ臓器を用いた細胞移植療法など、再生医療の分野でも最先端の研究を進めています。

T-CiRAディスカバリーの梶井靖ヘッドは、次のように述べています。「このiPS細胞技術の大きな特徴は、様々な種類の働く細胞を作成して、遺伝子レベルの治療を必要とする疾患のコントロールに使えることにあります。iPS細胞技術を用いれば、「レディメイド」の細胞治療や遺伝子治療が実現する可能性もあります。近い将来、iPS細胞技術と最新の遺伝子治療技術を組み合わせることで、難病に苦しむ患者さんに真の意味で革新的なソリューションをお届けできるようになる可能性もあると期待しています。」

オリヅルセラピューティクスについて

オリヅルセラピューティクスは、これまでT-CiRAで研究されてきた成果の一部について、如何にスピーディーに、如何に確実に患者さんにお届けするかを慎重に検討した結果、設立された会社です。すなわち、タケダとCiRAの患者さんへのコミットメントを表明する、新たな形としての企業です。これからもタケダR&Dは歴史に裏打ちされた技術とグローバル企業としての革新の継続、そして研究者の熱い想いで、患者さんへ革新的な治療薬をお届けするべく、日々努力を続けてまいります。