"Innovators in Science Award"授賞式が、11月28日にニューヨーク市内のニューヨーク科学アカデミー(以下「NYAS」)本部で開催された。本年度は、神経科学分野における貢献者を表彰した。当式典では、タケダのクリストフ・ウェバー(CEO)、アンドリュー・プランプ(チーフ メディカル&サイエンティフィック オフィサー)およびエミリアンジェロ・ラッティ(中枢神経系疾患領域ユニット長)がプレゼンターとして登壇した。
「"Innovators in Science Award"では、自身の研究結果やその背景にあるクリエイティブな思考を分かち合い、境界線を取り払おうと努力している研究者を見出し、功績を称えることを目的としています」とクリストフ・ウェバー社長CEOは語った。
本年度のSenior Scientist Awardは、公益財団法人サントリー生命科学財団 生物有機科学研究所所長の中西重忠博士が受賞した。中西博士は、神経伝達物質の膜貫通型受容体遺伝子に対する革新的なクローニング法を開発したことに続き、NMDA型およびGタンパク質共役型のグルタミン酸受容体をコードする機能遺伝子を同定したことが高く評価された。
「中西博士は先駆的な科学者であり、幸運にも彼と一緒に働く機会を得た人、そして彼を目指す研究者にとって、励みとなる存在です。彼の革新的な思考や神経科学における発見は、次の世代に大きな影響を与えるでしょう」とチーフ メディカル&サイエンティフィック オフィサーのアンドリュー・プランプ博士は述べた。
Early-Career Scientist Awardは、生物学や生物工学を専門とするカリフォルニア工科大学Assistant Professorのビビアナ・グラディナル博士に贈られた。グラディナル博士は、神経科学に関する画期的なツールを開発し、運動中枢・報酬中枢・睡眠中枢に関わる回路の調査に活用したことが高く評価された。
「グラディナル博士は、非侵襲的な脳全体への形質導入において、血液脳関門を通過できるカプシドを生成するウイルス・ベクターのスクリーニング法を開発しました。これは、中枢神経系疾患(注:Neuro Scienceに変更した後は神経科学分野)における治療において、画期的な成果です」と中枢神経系疾患領域ユニット長エミリアンジェロ・ラッティは語った。
本アワードの対象は、神経科学、消化器病、がん、再生医療における研究である。
2017年は、神経科学分野における革新的な研究成果に焦点を当てた。タケダは神経科学の研究で世界をリードし、精神医学分野への拡大も行いながら、パートナーシップや共同開発を通して神経学分野の礎を築いている。また、治療法が充分に確立されていない統合失調症、うつ病や神経系疾患といった精神神経疾患をもつ患者さんを重視する。
本アワードの2年目、タケダとNYASは再生医療分野における画期的な研究成果を募集する予定だ。タケダは治療方法の多様化、トランスレーショナル医療の研究開発を推し進める。そのうえで、再生医療の発展は、重要な鍵となるであろう。