今年9月、プラチナ製剤ベースの化学療法を実施中あるいは実施後に病勢が進行し、米国食品医薬品局(FDA)で承認された検査で検出された上皮成長因子受容体(EGFR)エクソン20挿入変異を伴う局所進行または転移性非小細胞肺がんの成人患者さんに対する治療薬EXKIVITY™(mobocertinib)が、FDAより承認を取得しました。1この承認が患者さんにとってどのような意味を持つのか、また、タケダのオンコロジー領域における研究開発について、グローバル オンコロジー ビジネス ユニット プレジデントのテレサ・ビテッティに月刊タケダストーリー編集部でインタビューを実施しました。
Q:今回の承認の意義について教えてください。
ビテッティ プレジデント: 米国でのEXKIVITYの承認は、EGFRエクソン20挿入変異の肺がん患者さんにとって大きな進展であると考えています。EXKIVITYは、化学療法後の、この重篤なEGFRエクソン20挿入変異の肺がんに特異的な初めての経口治療薬なのです。1小細胞肺がん(NSCLC)は、年間の新規肺がん症例の85%を占めています。2また、EGFRエクソン20挿入変異を伴うNSCLC患者さんは約1%~2%を占めます。3これらの患者さんは、奏効率を改善できる標的治療薬の選択肢がないという課題に直面してきました。EXKIVITYの承認は、経口治療という新たな治療選択肢を提供する重要な一歩だと考えています。今回のFDAの決定を嬉しく思っており、今後も患者さんのニーズに応えられるよう引き続き取り組んでまいります。
Q:これまで、EGFRエクソン20挿入変異は過小診断されていますが、この点についてはどのように考えますか?
ビテッティ プレジデント: EGFRエクソン20挿入変異を伴うNSCLCはEGFRエクソン20挿入は、現在の標準検査であるポリメラーゼ連鎖反応(PCR)検査では症例の50%未満しか検出されません。今回、FDAでは、PCR検査よりも正確に診断を行うため、次世代シーケンシング(NGS)を用いたThermo Fisher Scientific社のOncomine Dx Target Testを同時に承認しました。
また、タケダは、臨床医に対して、 EGFR エクソン20の病態及びEGFR エクソン20挿入変異を伴う患者さんを特定するための検査の適切な実施例についてお伝えする取り組みも行っています。が十分な情報を得た上で治療を決定し、進行がん患者さんが疾患に対して最適な治療を受けられるようにするためには、正確かつタイムリーな検査が重要なのです。
Q:EXKIVITYは患者コミュニティのアンメットニーズにどのように対処するのでしょうか?
ビテッティ プレジデント: EXKIVITYは、 EGFRエクソン20挿入変異を伴うNSCLCを標的として設計された初の経口治療薬であり、治療選択肢が限られていた患者さんにお届けするものです。
また、臨床的に意義のある持続的な奏功を示す治療を提供することで、標的治療薬の選択肢を切実に必要としている患者さんに貢献します。
Q:オンコロジー領域では、今後どのようなマイルストーンが予想されますか?今後のビジネスの成長分野として、どのように考えていますか?
ビテッティ プレジデント: 今回の承認は今後数年で達成が期待される事例の1つであり、革新性や患者さんのニーズにお応えするというコミットメントを示しています。タケダはグローバルブランドの拡大、ウェーブ1パイプライン及びウェーブ2パイプラインを通じて、成長を実現してまいります。オンコロジーは5つの事業領域の一つであり、ウェーブ1パイプライン及び2025年度以降のタケダの成長に貢献するウェーブ2パイプラインを通して複数の新規分子化合物(NME)に取り組んでいます。今後も研究開発を通じて、がんの予防・診断・治療に貢献していきたいと考えています。
Q:EXKIVITYの承認は、あなたにとってどのような意味を持つのでしょう?
ビテッティ プレジデント:今回の承認は私にとって大きな誇りであり、大変うれしく思っています。タケダのグローバルのオンコロジーチームと、全世界の約4万7000人の従業員が、世界中の患者さんのために重要な治療法を開発し、提供するために日々尽力していることを誇りに思います。
今回のマイルストーンの達成は、オンコロジー領域で十分な治療を受けられていない患者さんのニーズに応えるという会社全体の取り組みを体現したものです。までの道のりにご協力くださった患者さんや研究者に感謝の意をお伝えするとともに、世界中の規制当局と引き続き協議を継続し、全世界の患者さんにとって新たな有効な治療選択肢としてお届けする取り組んでまいります。
タケダは240年にわたり、サイエンスを駆使し、、世界中の人々のより健やかで輝かしい未来に貢献することに注力してきました。米国での 「EXKIVITY」 の承認は、タケダのパイプラインにとって新たなマイルストーンであり、「ウェーブ1」 と 「ウェーブ2」 で示すイノベーションの象徴となります。当社は、2024年度までに承認取得の可能性がある複数のベスト・イン・クラス/ファースト・イン・クラスの新規候補物質(NME)を含むウェーブ1パイプラインによって、短期的成長の実現を見込んでいます。ウェーブ2パイプラインは、当社の2025年度以降の持続的な成長を支えていくと期待されています。
<将来に関する見通し情報>
本記事には、武田薬品の見積もり、予測、目標及び計画を含む当社の将来の事業、将来のポジション及び業績に関する将来見通し情報、理念又は見解が含まれています。将来見通し情報は、「目標にする(targets)」、「計画する(plans)」、「信じる(believes)」、「望む(hopes)」、「継続する(continues)」、「期待する(expects)」、「めざす(aims)」、「意図する(intends)」、「確実にする(ensures)」、「だろう(will)」、「かもしれない(may)」、「すべきであろう(should)」、「であろう(would)」「することができた(could)」、「予想される(anticipates)」、「見込む(estimates)」、「予想する(projects)」などの用語若しくは同様の表現又はそれらの否定表現を含むことが多いですが、それに限られるものではありません。これら将来見通し情報は、多くの重要な要因に関する前提に基づいており、実際の業績は、将来見通し情報において明示又は暗示された将来の業績とは大きく異なる可能性があります。その重要な要因には、日本及び米国の一般的な経済条件を含む当社のグローバルな事業を取り巻く経済状況、競合製品の出現と開発、世界的な医療制度改革を含む関連法規の変更、臨床的成功及び規制当局による判断とその時期の不確実性を含む新製品開発に内在する困難、新製品及び既存製品の商業的成功の不確実性、製造における困難又は遅延、金利及び為替の変動、市場で販売された製品又は候補製品の安全性又は有効性に関するクレーム又は懸念、新規コロナウイルス・パンデミックのような健康危機が、当社が事業を行う国の政府を含む当社とその顧客及び供給業者又は当社事業の他の側面に及ぼす影響、買収対象企業とのPMI(買収後の統合活動)の時期及び影響、武田薬品の事業にとっての非中核事業を売却する能力及びかかる資産売却のタイミング、当社のウェブサイト(https://www.takeda.com/investors/reports/sec-filings/)又はwww.sec.gov において閲覧可能な米国証券取引委員会に提出したForm 20-Fによる最新の年次報告書及び当社の他の報告書において特定されたその他の要因が含まれます。武田薬品は、法律や証券取引所の規則により要請される場合を除き、本記事に含まれる、又は当社が提示するいかなる将来見通し情報を更新する義務を負うものではありません。過去の実績は将来の経営結果の指針とはならず、また、本記事における武田薬品の経営結果は武田薬品の将来の経営結果又はその公表を示すものではなく、その予測、予想、保証又は見積もりではありません。
<医療情報>
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1本適応症は、奏効率(ORR)と奏効期間(DoR)に基づき、FDAの迅速承認制度のもとで承認されています。本適応症の継続的な承認は、検証試験における臨床的有用性の確認と説明が条件となります。
2 American Cancer Society. What is Non-Small Cell Lung Cancer? https://www.cancer.org/cancer/non-small-cell-lung-cancer/about/what-is-non-small-cell-lung-cancer.html. Accessed March 2021.
3 Riess, Jonathan W. Diverse EGFR Exon 20 Insertions and Co-Occurring Molecular Alterations Identified by Comprehensive Genomic Profiling of NSCLC. https://www.jto.org/article/S1556-0864(18)30770-6/fulltext. Accessed April 7, 2020.