タケダの製造拠点では、3D プリンターを活用した効率化やダウンタイムの削減、およびコストの削減に取り組んでいます。
3D プリンターの重要性:
タケダの製造拠点では、常に医薬品の製造機器の代替パーツを確保しておかなければなりません。タケダで用いるスペアパーツの多くは特殊で高価であるだけでなく、在庫が切れていれば交換に時間がかかることもあります。
「3D プリンターがあれば、こうしたスペアパーツを 3D データでストックしておき、必要に応じて製作することができます」と、グローバル エンジニアリング テクノロジー ソリューションのリーダーを務めるドミニク ドューダは話しています。「医薬品の製造機器が故障してダウンタイムが発生してしまったら、最悪の場合、医薬品の供給の遅れを招く可能性があります」
その他の利点:
こうしたダウンタイムによるコストを回避できることは、3D プリント技術のメリットの一つに過ぎません。3D プリンターは、秘密性の高い医薬品の研究開発プロジェクトにおける試作手段にもなります。
3D プリンターは、従業員のトレーニングにも欠かせないものとなっています。タケダの山口県光工場では、無菌製剤部門に立ち入ることができるのは有資格者のみであり、新人オペレーターの資格取得のためのトレーニングに1か月かかることもありましたが、3D プリンターを使って安価に製造機器の模型を製作することで、トレーニング期間をわずか3日に短縮することができました。
しかし、3D プリンターの最大のメリットは、製造現場の第一線で働く従業員が新しいソリューションを提案し、それを迅速かつ安価に実現する方法を得られたことだと言えるでしょう。これは、ラピッドプロトタイピングと呼ばれる手法です。
「アイディアを簡単にスケッチしてエンジニアに渡せば、エンジニアは 2~3 回の試作でそれを実際の形にすることができます」と、ドミニクは語っています。「例えば『こういうものが必要なのですが、この二つのパーツをつなげられますか?』と言えば『分かりました、2 時間で作ります』といった感じです」