新薬の研究開発の過程では、研究段階でのヒト細胞の使用や社会的弱者の保護など、様々な医療倫理の課題が生じます。当社は、研究開発活動において最高の倫理基準を遵守し、患者さんを守るという強い決意を反映した方針とプロセスを定めています。
医療研究では、新薬の安全性・有効性を予測するために、血液や細胞などヒト由来試料を使用する必要がありますが、その採取と使用については、私たちの価値観であるタケダイズムと倫理基準に基づき特に高い基準を設けています。日本ではヒト由来試料に関する研究倫理審査委員会を設置し、被験者や医療研究のための倫理原則の表明として世界医師会が定めたヘルシンキ宣言に則り、研究への試料使用の適否を判断しています。
当社は販売活動においても患者さんを中心に考える方針に従い、当社医薬品の処方・使用・管理・購入・推奨に対して不当な影響力を行使せず、報酬も提供しません。また当社医薬品の使用を勧めるために、金銭・贈り物・サービス・接待・その他有価物の提供も行いません。
この立場を明確に示すために、医療関係者および医療機関との交流に関するグローバルポリシー、患者および患者団体との交流に関するグローバルポリシー、公務員および政府機関との交流に関するグローバルポリシー、贈収賄禁止グローバルポリシーを含むあらゆるグローバルポリシーを遵守しています。また、各国の関連法、国際製薬団体連合会(IFPMA)コードオブプラクティス、各地の業界団体が定めた行動基準などを遵守した活動を推進しています。
医薬情報は適切な手段や媒体を通じて、正確かつ公正に、バランスの取れた方法で提供します。社内外のガイドラインに基づき、医薬品のプロモーション資材の見直しを実施しています。これらの評価は独立組織が行う場合があり、定期的なモニタリングも行なっています。これらの評価とモニタリングは標準業務手順書(SOP)に基づいて行われます。
エシックス&コンプライアンス・プログラムにおいて、研修や教育は重要な要素です。新たに入社した従業員は、グローバル行動規範、贈収賄禁止ポリシーなど、従業員がとるべき行動に関するSOPについての研修を受けます。
偽造医薬品は大きな問題となっており、世界中の消費者と患者さんに深刻な脅威をもたらしています。グローバル・プロダクト・プロテクション(GPP)チームは、患者さんを守るために違法な活動と闘うと共にサプライチェーンの安全性の確保に尽力しています。
偽造医薬品および違法取引と闘うために、国内外の法執行機関、規制当局、各製薬会社、業界団体と積極的に連携し、患者さん、サプライチェーンのパートナー、消費者に対して、これらの違法活動の危険性に関する啓発を行っています。国際製薬団体連合会(IFPMA)の「Fight the Fakes」キャンペーンや安全なオンライン薬局同盟(ASOPグローバル)など複数の団体との連携を通じ、深刻化するこの問題に対して患者さんへの啓発活動に貢献しています。
全世界のサプライチェーンパートナー向けに高いセキュリティ基準と要件を定め、これらの要件に照らして必要とされる調査・分析(デューデリジェンス)と監査を行っています。偽造・盗難・転用・改ざんを防止・検知するために、医薬品とパッケージ用の革新的な偽造防止ソリューションも開発しました。
偽造医薬品および違法取引と闘うために、国内外の法執行機関、規制当局、各製薬会社、業界団体と積極的に連携し、患者さん、サプライチェーンのパートナー、消費者に対して、これらの違法活動の危険性に関する啓発を行っています。国際製薬団体連合会(IFPMA)の「Fight the Fakes」キャンペーンや安全なオンライン薬局同盟(ASOPグローバル)など複数の団体との連携を通じ、深刻化するこの問題に対して患者さんへの啓発活動に貢献しています。
全世界のサプライチェーンパートナー向けに高いセキュリティ基準と要件を定め、これらの要件に照らして必要とされる調査・分析(デューデリジェンス)と監査を行っています。偽造・盗難・転用・改ざんを防止・検知するために、医薬品とパッケージ用の革新的な偽造防止ソリューションも開発しました。
研究の最先端領域がヒトゲノム、遺伝子解析、幹細胞などの新分野に及ぶにつれて、さらなる倫理上の懸念が生じる可能性があります。このような変化に対応するために、倫理ガイドラインを継続的に見直しています。武田湘南研究倫理審査委員会(TSHO)は、高い倫理基準に従って研究開発活動が行われているかを監督しています。
米国研究製薬工業協会(PhRMA)などの製薬業界団体や国際製薬団体連合会(IFPMA)のプログラムに積極的に参画することにより、研究開発における倫理とコンプライアンスに関して新たに出現しているトレンドの一歩先を行くよう取り組んでいます。
2019 年、当社は多能性幹細胞、遺伝子組み換え生物(GMO)、遺伝子治療などの新技術の研究利用を含むバイオテクノロジー分野の幹細胞研究範囲を拡大しました。
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新たな治療法のヒトへの適合性を判断するために、研究段階において動物を使用することは法規制上必要不可欠になっています。当社では、すべての動物を用いた研究について、各施設の動物愛護並びに取り扱いに関する委員会により厳正に審査され承認を受けなければならないことになっています。また、3R(下記参照)を積極的に推進しています。
すべての動物を用いた研究は、社内外の専門家で構成される委員会による承認を受ける必要があり、動物愛護並びに取り扱いに関する委員会(IACUC)による監視の下で行われます。また、動物を用いた研究を行うすべての研究開発施設は、民間の非営利組織である国際実験動物ケア評価認証協会(AAALAC)による認定を受けるなど、科学分野における動物の人道的な取り扱いと認定済みのベストプラクティスの採用を推進しています。
臨床試験の計画・実施、医師による十分な説明を受けたうえで患者さんが納得して治療を受ける(インフォームド・コンセント)ための手順、試験参加者データの管理についても、当社の価値観であるタケダイズムと倫理基準に従って実施しています。臨床試験は、試験参加者や患者さんの身体的・精神的な健康に配慮すると共に、試験を通じて十分な知見が得られるように計画されます。臨床試験の実施にあたり、法令を遵守すると共に2013年のヘルシンキ宣言、日米EU医薬品規制調和国際会議ガイドラインにおける医薬品の臨床試験の実施の基準(ICH-GCP)、欧州製薬団体連合会(EFPIA)と米国研究製薬工業協会(PhRMA)が共同作成した原則、および国際的な原則・基準に準拠しています。
途上国や新興国の臨床試験において対象者に社会的弱者が含まれる場合も、すべての被験者の人権が損なわれることがないよう十分な配慮を行っています。臨床試験にあたってインフォームド・コンセントの手順に則り予測される効果や起こり得る副作用などについて十分説明した上で、患者さんが自らの意思で試験参加の是非を判断いただけるようにしています。臨床試験のプロセスは、試験参加者の肉体的・精神的な健全性を保ち、患者さんのプライバシーや個人情報を保護するように策定しています。
臨床試験は、タケダのグローバル基準に沿って、医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令(GCP)に準拠する独立倫理委員会(IEC)、治験審査委員会(IRB)等からの承認・肯定的見解を得て実施されます。試験の内容、手順を大幅に修正する際も同様の承認・肯定的見解が必要になります。
タケダが協働する治験担当医師は、ICH GCP およびその他の適用される原則と基準に従って業務を遂行することに合意しています。タケダは臨床試験に携わる従業員の立場に応じ、タケダの方針や標準作業手順書、行動規準、倫理・コンプライアンスに関する方針の研修、ヒトを対象とした研究の実施に関する生命倫理基準などの教育を実施しています。
タケダのグローバルスタンダードに基づき、GCP に準拠した独立倫理委員会の承認または肯定的意見を得るまでは、治験を開始し、または大幅な変更は行いません。治験のすべての過程において患者さんを保護し、治験の質を確保することを目的としたグローバルクリニカルクオリティーとグローバルセーフティー機能を有しています。社内手順では、すべての国や地域における品質と患者さんの安全の管理に関する基準を設定しています。プロセスと手順の遵守状況を評価する内部監査を実施するとともに、規制当局による査察も受けています。また、懸念事項を報告するためのエスカレーションプロセスが整備されており、グローバルクオリティチームを通じてタケダエグゼクティブチームが監視しています。また、多くの国では、治験参加者は個人情報の取り扱いについて、その国のデータ保護当局に懸念を申し立てる権利を有しています。欧州のデータ保護当局のリストはこちらをご覧ください。
患者さんの命にかかわる治療を早期にかつ中断されることなく受けられるようにする目標は、私たちの医薬品アクセス戦略の重要な要素です。治験後アクセス(Post-Trial Access: PTA)は、臨床試験終了後も治験薬による治療を必要とする適格な治験参加者に対して、治療を継続できるようにすることに貢献しています。PTA の仕組みについての詳細は、こちらをご覧ください。Takeda.com.
臨床試験終了時に、治験担当医師に対し、治験実施施設の被験者レベルのデータを提供しています。タケダがスポンサーとなって実施した第 2-3 相の治験や第 4 相の承認化合物の介入がある臨床試験、および当社の医療機器を評価する臨床試験について、試験結果を記載した原稿を、試験終了後(市販品の場合)、または規制当局による承認、または治験薬の開発中止または終了の判断後、18 か月以内に提出するよう努めています。タケダの臨床試験に関する詳しい情報はこちらをご覧ください。
私たちは、法令遵守の枠にとどまらず、倫理的な行動をする義務があると考えています。当社の価値観であるタケダイズムにおいては、まず誠実であること、言い換えると、常に公正・正直・不屈の精神で行動することを重要視しています。私たちはこれを道しるべとしながら、「1.患者さんに寄り添い(Patient)、2.人々と信頼関係を築き(Trust)、3.社会的評価を向上させ(Reputation)、4.事業を発展させる(Business)」ことを日々の行動指針としています。今日、そして未来にわたって誇りに思えるような決断をするために、私たちはこの行動指針をすべての判断基準にしています。さらに、タケダ・グローバル行動規範を複数の言語に翻訳し、事業を行う際に中核となる原則としています。私たちはこの規範に基づき、従業員に対して倫理的な行動を促し、同時に指導も行っています。
倫理観の醸成やコンプライアンスを促進するため、チーフエシックス&コンプライアンスオフィサーおよびリスク・エシックス&コンプライアンス・コミッティー(RECC)を設置し、両者が共同して倫理およびコンプライアンス事案を全社的なアプローチで対応する体制を構築しています。すべてのグループ会社においてタケダ・グローバル行動規範および関連するグローバルポリシーに則ってエシックス&コンプライアンス・プログラムの実行と強化を推進しています。これらのポリシーはビジネス・レビュー・コミッティー(BRC)により承認されたものです。
タケダでは、最高水準の企業倫理を維持するためタケダ・エシックスラインを整備しており、全世界の従業員は24時間いつでも、質問や懸念を相談することができます。