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キャリア形成に効く、前向きに取り組むマインドセット

上司:松村 豪(右)
ジャパンファーマビジネスユニット(取材当時)

部下:松林 美和(左)
ジャパンファーマビジネスユニット(取材当時)

松林は現在、事業活動のなかで起こる様々な事象において、企業倫理やコンプライアンスの観点から判断をするエシックス&コンプライアンス オフィスに所属している。大学卒業後、新卒でタケダに入社し、MRからキャリアをスタート。その後、本社のファイナンスや事業企画部などの所属を経て、2年前に現在のチームに異動した。そこで、キャリア構築のメンターともいえる上司の松村と出会う。松村は複数の外資系ヘルスケア企業で法務、コンプライアンス、リスクマネジメント部門等で経験を積み、シャイアー社とタケダの合併を機にタケダの一員に加わった、経験・実績ともに豊富なベテランだ。「上司である松村さんの、バイアスを持たないリーダーシップと成果重視のマネジメントスタイルに刺激され、前向きに仕事とキャリア形成に向き合うマインドセットを手に入れることができました」と松林は語る。信頼できる上司のもと、自身のスキルを高め、楽しみながらチャレンジを続けているという。

上司のフラットな視点に気づきを得る

8歳の娘を持つ母でもある松林にとって、育児休暇を終え、職場に復帰してからの数年は、仕事と育児の両立が課題だった。「業務に支障をきたしたり、周りに負担をかけたりしてしまわないか」という申し訳なさを抱え、常に良い方法を模索してきたという。しかし、最近は自身の考え方が変わり、「多少の困難を感じる場面があっても、『両立できる、したい!』という自信や前向きな気持ちが揺るぎないものとして確立できた」と話す。

変化のきっかけは、上司・松村の姿勢だという。「松村さんは、先入観を持たずに仕事の指示やチャレンジへの提案をしてくれます。『子育て中の人は大変に違いない。大事な業務を任せて大丈夫かな』といった遠慮や決めつけを感じたことが一切ありません。ポルトガルでエシックス&コンプライアンス部門のグローバル会議の開催が決定したときも、『海外出張の機会がありますが、行きますか?』と、シンプルに聞いてくれました。“その人の属性に関係なく、純粋に期待して声をかける”という上司の一貫した姿勢に触れるうち、『大変だろうからチャレンジは難しいのでは』とブレーキをかけていたのは、周囲の声ではなく、実は自分自身の決めつけだったのだと気づくことができました」。 

一方、上司である松村にとって、先入観を持たずに部下の可能性を引き出すことは、意識的な行動というよりも、ごく自然なことのようだ。「自分はこれまで男性、女性、LGBTQ+、外国人、ハンディキャップのある方などを含め、多様性のある上司や同僚に恵まれて仕事をしてきたせいか、働くお母さんを特別な人と考えることはありません。私のチームメンバーは全員働くお母さんですが(この状況も珍しいかもしれませんね)、仕事の機会を考慮するにあたって特別視することはありません。
チームメンバーの事情は個別ミーティングやチームミーティングで遠慮なく共有してもらい、最大限の支援を行います。他人に迷惑をかけず、成果を出している限り、時間の管理や働き方は各自に任せるというマネジメントスタイルです。仕事に対する緊張感はむしろ高いかもしれません。年初の目標設定は時間をかけて両者が納得いくまで話し合い、本人の成長のため、本人が相応の努力をすることで達成できる少しストレッチなものを設定します。皆さん、目標達成に向けて日々努力されていますので、私も刺激を受けています」と松村は話す。

準備期間と環境が整えば、海外出張も可能に

前述した松林のポルトガル出張は、準備期間を十分に考慮して、1か月以上前に上司から告げられた。育休復帰後で、1週間にわたる海外出張は初経験だったが、気づけば「行きます」と即答していた。「大急ぎで家族に事情を伝え、シッターサービスを調べるなど準備に奔走しました。出張中にも大変なことはありましたが、上司や同僚など周囲の理解とサポートを得て、無事に終えることができました。それまで無理と思い込んでいたことをクリアできた経験は、私にとって大きな転機となりました」。現地では世界中から集まった数百名の仲間たちと意見を交換し、事業の発展と会社のパーパス(存在意義)、そしてタケダが大切にしている価値観についてエシックス&コンプライアンスの面から真剣に議論したという。

さらに松林の活躍は続く。昨年、同じグローバル会議が開催された際に、企画メンバーとして参加したのだ。コロナ禍のため、半年にわたる準備も本番もすべてバーチャル環境であることに加え、時差のあるなか米国・カナダ・スイス・ドバイ・シンガポールなど国籍も文化も多様な企画メンバーと一つのプロジェクトを創り上げるという、ポルトガルでの経験とはまた別のチャレンジだった。会議の重要なセッションのリーダーをドバイのメンバーと共に任され、グローバル会議のスピード感や議論の仕方、意見の通し方などを実践とともに学んだ。「最終的には、“失敗したってまたやり直せばいい。困ったらプロジェクトメンバーも、上司も日本の仲間もみんな助けてくれる。とにかく最後にチーム全員で成功すればいい”というマインドセットのもと、プロジェクトを成功させることができました。

この前向きな思考の変化が、一番の財産だったと思っています」と、自身の成長を語る。こうした様々な経験を積むうちに、タイムマネジメントのスキルも向上した。「育児に集中する必要があるタイミングはきっぱり育児を優先する。それと同時に仕事については、どの時間で巻き返し、期日に間に合わせるか、いかにゴールに到達するかをセットで組み立てるのが当たり前になり、結果としてワークライフバランスは大きく向上しました」。

ダイバーシティと相互理解が生む変化

松林の所属するグループのみならず、タケダ全体として職場のダイバーシティが加速しているという。「中途入社、女性、若手の積極的な採用や起用、他部門からの異動など、キャリアの多様性が増しました。この加速とともに、誰もが育児や介護、通院など個別の事情や背景があるということが、相互認識としてだんだんと広まっていると感じます。気づけば私自身も、誰かの状況を属性だけで判断することがなくなり、ワーキングマザーという自身へのラベル付けについてもネガティブな捉え方をしていません。今まさにタケダが真のダイバーシティに向けて変化を遂げていることを実感しています」と松林は語る。

その点について、上司である松村も同様の認識を持っている。「私を含め、プライベートは千差万別。介護をしている人、病気や障害を抱えながら働いている人など様々な従業員がいるので、働くお母さんを特別意識することはありません。もちろんプライバシーは大切ですから無理に聞き出すことはしませんが、チームメンバーの置かれている状況をよく聞いて、各メンバーが成果をあげられる環境とはどういったものかを一緒に考えるように努めています。私にも家族がいますし、プライベートな所用などがある場合は遠慮なくチームメンバーに伝え、理解と協力を求めるようにしています。私が率先してチームメンバーを頼れば、チームメンバーも安心してお互いを頼れるようになると思うのです」と、チームの信頼関係を高める上で、リーダーである自分自身がチームメンバーに頼ることも大事だと話す。 

松林は、多様性を受け入れる環境と、信じて任せてくれる上司の存在が自分を変えてくれたと実感しているという。「様々な背景を持った人が部内にいることを理解した上で、一貫してチャンスを平等に与え、オープンに接してくれる。信じて声をかけてくれる、そして信じて任せてくれていると思えるからこそ、その期待に応えたいと思い、今もチャレンジを続けることができています。これからタケダに入る方には、チャレンジする人を応援してくれるこの環境の中で、自身が持つ背景を理由にブレーキをかけることなく、自己実現を目指してもらいたいです」。