飯山 久美
グローバル コーポレート アフェアーズ(取材当時)
現在、飯山は本社機能の広報・渉外やサステナビリティ、CSR、デジタルコミュニケーションや危機管理まで、幅広い分野を受け持つグローバル コーポレート アフェアーズ部門のなかで、国内の社内コミュニケーションを担当するチームのリーダーを務めている。新卒でタケダに入社して医薬情報担当者、グローバル人事、社内外に向けた様々な広報業務を経験したのち、今のチームに配属となった。落ち着きのある佇まいで、チームメンバーを力強く束ねるリーダーだ。タケダに関する豊富な知識とコミュニケーションスキルで周囲から厚い信頼を集めている。「海外チームとも連携しながら、従業員の皆さんに最新情報をタイムリーに発信したり、マネジメントと従業員のコミュニケーションを促進したりする重要な仕事に、とてもやりがいを感じています」と話す。
数年前、初めての出産・育児のため、休暇を取り職場を一時的に離れた。管理職として復帰するにあたっては、すぐに成果を出せるだろうかという不安もあったそうだ。実際には、育児休暇明けの上司との面談で、過去の実績とリーダーシップに関して高い評価を受け、チームリーダーに昇格となった。「タケダには、自分のような背景を持つ人材も活躍できる場があり、会社に期待されているという自信が湧きました。評価に応えて結果を出そうと、とても前向きな気持ちになりました」と、飯山は振り返る。
そして育児と仕事の両立で奮闘するなか、突然、母親が脳梗塞で倒れたという一報が入る。「私は漠然と、母はいつまでも元気でいてくれると信じていたのだと思います。育児と仕事のことで、気持ちの上では200%の稼働率で動いていたときに、思いもしなかったショックな出来事が起き、本当に困惑してしまいました」と語る。
母親は脳梗塞の後遺症やその他の疾患があり、要介護4に認定されたという(取材時)。「担当医師からは一人暮らしは無理だと言われましたが、本人の希望もあり、施設には入らず在宅介護となったため、姉やケアマネジャーさんにも頼りながら母が一人暮らしをするマンションに通って介護をする生活です。週末に一度と必要な時は平日にも時間を割き、母のために料理、掃除、洗濯などの家事をこなしています。最近は数独問題の答え合わせを母と一緒にするのがルーティンに。また、本人が希望するときはリハビリの介助をすることもあります。身体もですが、心のケアもとても大切だと実感する日々です。これは自分に対しても同じです。心がけているのは、頑張り過ぎないこと。無意識にあと一歩頑張ってしまいそうになるところをぐっと抑え、気持ちの余裕につなげる。それが長く続けるために大切だと思うのです」。
介護生活が始まることや以前から考えていた子供のプリスクール受験などについて、どのように上司や部下に伝えるか。飯山は少し悩んだという。それまでも夕方は保育園に迎えにいくために早くオフィスを出るなどフレキシブルな働き方をしていたものの、母親の状況により突然呼び出されたり、午後早く終わる新しいスクールに子供を通わせたりすることで、これまで以上にフレックスを使う機会も増えるだろう。チームへの負担や彼らの受け止め方も気になった。だが、それも杞憂に終わる。「タケダにはダイバーシティへの尊重が根付いていますし、ここの仲間なら理解してくれると考えて、思い切って伝えました。すると、サポートするという支援のメッセージではなく、ぜひロールモデルとして仕事との両立を実践してほしい。柔軟な働き方が必要になる状況はこれから誰にでも突然起こりうるので、リーダー自らその挑戦をしてくれたら私たちも助かりますと、前向きな応援メッセージをくれました。これには本当に背中を押してもらえた気持ちです」。