「家族にかげかえのない時間を提供することができました」
タケダ・ウェルビーイング・プログラム第2期の助成を受けた際、『認定特定非営利活動法人親子はねやすめ』の代表理事である宮地浩太さんは、そうお話しになりました。
宮地さんは、重い病気や障害を持つお子さんとそのご家族に、ひと時の休息を提供する団体のボランティア活動に参加した経験から、2014年に親子はねやすめを立ち上げました。重い病気や障害を持つ子どもとその家族に対して、長野県筑波北村を中心にレスパイト旅行※1などを企画し、家族みんなで安心して過ごせる時間を提供する活動を行っています。
日本には、今、医療的ケアを必要とする子どもが約20,000人います。こうした子どもたちは、人工呼吸器や酸素ボンベなどの医療機器がないと生きていけない場合が多く、親御さんは子どもの体調と医療機器の対応で息つく暇もありません。近年は、在宅で過ごす医療的ケアの必要な子どもが増加傾向にあるものの、地域コミュニティには子どもを受け入れてくれるデイケア施設などが少なく、家族が24時間休みなくケアに追われるケースが多いといいます。また、家族が一緒に外出する機会も少なく、外出しても常に医療的ケアが必要であるため、心身ともにくつろぐことができません。
1年目の助成で宮地さんは、それまでの実績とノウハウを活かし新たな協力者や支援者を開拓。宮城県内で1泊2日のレスパイト旅行を実現し、「新たなサポーターを見ることで活動の幅が広がりました」と語ります。レスパイト旅行では、医療ボランティアが子どものケアを受け持ちます。そのため、参加したご家族から、「家族揃っての旅行ができるなんて夢にも思わなかった」「家族だけでは到底行うことができない時間をもらいました」との声が寄せられたことを報告してくださいました。
2年目の助成では、地域における医療的ケアの必要な子どもの啓発に注力し、理解者の拡大に努めました。
「地域ボランティアを巻き込むほか、ボランティアがプロボノ※2として事務局運営をサポートし、運営マニュアルや啓発動画を作成するなど、活動を支える仲間の裾野が拡がりました。さらに地域の重度心身障害児の支援に取り組んでいるNPO団体との連携が生まれ、新たな当事者親子の参加にもつながり、地域が主体となってレスパイトを提供する活動につなげることができました」
宮地さんは、助成による成果をこのように語ってくれました。
※1.レスパイト(respite)とは「小休止」「ひと休み」「息抜き」を意味します。医療的ケアの必要なお子さんとその家族が、リラックスして休むことができる旅行プログラムです。
※2.社会的・公共的な目的のために、職業上のスキルや専門知識を活かして取り組むボランティア活動のこと。